
秋から冬にかけて熊が冬眠前の餌を求めて人里に出没するのは例年のことですが、今年は今までにないほどクマが人里に降りてきています。
皆さんもニュースで毎日クマのニュースを目にしているかと思います。
例年なら見かけるはずのない街中や高速道路にまで熊が出没しています。
そうなると普段の運転中でも熊と遭遇することがあるかもしれません。
目次
運転中にクマと遭遇したら?
まずさきに結論から言うと、運転中に熊と遭遇したら「なるべく停車せず、熊のスキを見つけて、ゆっくりとすり抜ける」のが正解です。
不用意に車を停めてしまうとクマと対峙してしまうことになるのはもちろんのこと、停止車両が障害物になって周囲の車やバイクを危険に巻き込むことにもなるので、前方に熊が出現したら対向車などに注意しながらすみやかに回避して難を逃れましょう。
遭遇したのが中型犬くらいのかわいい子熊でも、その近くには必ずといっていいほど大きな親熊がいるので、物珍しさから車を停めるのはもちろん、車を降りて近づくのは危険です。
もしも道を塞がれてしまったら?
もしもクマが道路上にいて回避できないような状況になってしまった場合、慌ててバックをしたりしないようにしましょう。
熊は逃げるものを追いかけてくる習性があるそうなので、バックをすると余計に追いかけられることもあるようです。
クラクションは鳴らさない
前方に熊をみつけたら、後続車からの追突を防ぐために急ブレーキは避けて速度を落とし、周囲へ注意を呼びかけるためハザードランプを点灯させましょう。
窓はしっかりと閉め、ドアをロックして熊が車内へ侵入するのを防ぎます。
そのうえで、熊の様子をうかがい、進路が空いたらゆっくりと加速して脱出しましょう。
大きな音を発するクラクションで熊を撃退できると考えがちですが、有識者が言うには大きな音を出すことで熊が逃げることもあれば、反対に興奮させてしまうこともあるため、クラクションは極力使わない方がよいとのことです。
また、自分ではなく前方で熊と鉢合わせして動けなくなっている車を見かけても、「距離があるから大丈夫」と油断してはいけません。
後続車は、前のドライバーが驚いて急にバックしてくる可能性も考え、十分な車間距離を確保しておきましょう。対向車も、熊に直面した車が逃げられるように進路を空けてあげることが大切です。
熊との衝突による損傷でも保険が使える! ぶつかったら警察と道路緊急ダイヤルへ連絡
クマは本気で走ると時速40kmにも達するといわれており、体重が100kgを超えるような個体が勢いよく道路へ飛び出してきて車と衝突すれば、車両側にも相当大きなダメージが発生します。
見た目以上に衝撃は強く、車体の破損はもちろん、状況によっては走行不能になる可能性すらあります。
また、野生動物との衝突は「物」との接触とみなされるため物損事故扱いとなり、熊との接触で車が壊れた場合には、自動車任意保険の車両保険で修理費をカバーできます。
さらに、同乗者がケガをした場合には対物賠償保険が適用されるため、人への補償もしっかり受けられます。
クマをひいてしまっても、違反点数の減点や反則金といった直接的な罰則はありません。
しかし、事故であることに変わりはないため、ドライバーには「危険防止等措置義務」と「報告義務」が必ず発生します。
これは、クマを避けようとした結果、別の障害物に衝突したケースでも同様です。
事故後は、他の車の通行を妨げないよう三角表示板などで周囲へ注意を促したいところですが、クマがまだ生存している恐れもあり、不用意に近づくと反撃される危険があります。
絶対に車外に出てクマに近寄ってはいけません。
まずは車内に留まり、安全を確保したうえで警察へ連絡し、指示を仰ぐのが最も安全な対応です。
なお、野生動物に対しては交通事故時の「救護義務」は課されていません。
そのため、救命処置を行ったり死骸を自分で撤去したりする必要はありませんし、むしろ触れることで感染症のリスクが生じます。
ただし、後処理は専門の機関に任せた方が安全なので、「道路緊急ダイヤル(#9910)」にも連絡し、適切な対処を依頼しましょう。
さらに、自動車保険を使う場合には警察が発行する事故証明書が必須となるため、熊などの野生動物が関係する事故を起こした際は、かならず警察に通報することが重要です。
事故後の対応を正しく行うことで、補償も適切に受けられ、二次被害の防止にもつながります。
もしもに備えた安全運転を
クマの出没報告がされている地域を走るときは何よりも「もしかすると・・・」と考えながら運転することが一番です。
出没しやすいとされる山道はもちろん、これほど出没すると街中や高速道路の運転中も油断はできません。
夜にあまり行動しないといわれていますが、人との接触を避けるために早朝や夕方に動き活発化することもあるそうです。
路上に飛び出した熊の早期発見のために積極的なヘッドライト点灯や衝突を避けるために安全な速度を保つことも大切です。