
近年、就職・転職に関する情報収集を行う中で、「ブラック企業」「ホワイト企業」に加えて「パープル企業」という言葉を目にする機会が増えています。
この言葉はSNSやキャリア系メディアを中心に広がった比較的新しい概念ですが、背景には現代の働き方や企業評価の変化があります。
本記事では、パープル企業とは何かを客観的に整理し、ブラック企業・ホワイト企業との違い、特徴、見分け方の考え方について解説します。
目次
パープル企業とは!?
パープル企業とは、制度や外部評価だけを見るとホワイト企業に近いが、実態としては従業員に大きな負荷がかかっている企業を指す俗称です。
ブラック企業とホワイト企業の要素が混在していることから、色の混合になぞらえて「パープル」と表現されます。
この言葉は法律や公的機関による正式な分類ではなく、主に以下のような文脈で使われます。
- ・働き方改革後の企業環境を説明するため
- ・「ホワイトに見えるがつらい職場」を言語化するため
- ・求職者や若手社員の体験談を共有するため
そのため、定義はやや曖昧ですが、共通して語られるのは「見た目と中身のギャップ」です。
パープル企業という言葉が広がった背景
ではここでそもそもなぜ「パープル企業」という言葉が広がってきたのでしょうか?
様々要因はあるかと思いますが大きく分けると2つの要素がかかわっていると思われます。
働き方改革と制度の整備
残業時間の上限規制や有給取得の推進など、働き方改革によって多くの企業が制度面を整えました。
その結果として、
- ・残業時間は少ない
- ・休日や福利厚生も充実している
といった条件を満たす企業が増えています。
しかしその一方で、業務量や成果への期待値が下がったわけではないケースも少なくありません。
企業ブランディングの高度化・多様化
人材不足からくる採用競争が激化する中、企業は「働きやすさ」を積極的に発信するようになりました。
採用サイトや口コミ、SNS上ではポジティブな情報が強調されやすく、実態との差が見えにくくなっています。
このような状況が、「ホワイトに見えるが実はきつい」企業を生みやすくし、パープル企業という言葉が使われる土壌ができたのではないかと考えられます。
ブラック企業・ホワイト企業との違いは!?
ではパープル企業は今までのブラック企業やホワイト企業と実際どのような違いがあるのでしょうか?
ブラック企業との違い
ラック企業は、以下のような特徴が比較的明確です。
- ・長時間労働やサービス残業が常態化している
- ・ハラスメントや違法行為が黙認されている
- ・労働基準法に明確に違反しているケースが多い
一方、パープル企業では、
- ・法令違反はしていない
- ・残業時間や休日日数は基準内に収まっている
といった点が異なります。
問題となるのは違法性ではなく、「運用」と「職場文化」にあります。
ホワイト企業との違い
ホワイト企業は、制度と実態が比較的一致しており、
- ・業務量と成果目標のバランスが取れている
- ・失敗や調整が許容される文化がある
- ・心身の回復余地が確保されている
といった特徴があります。
パープル企業では、制度上はホワイトであっても、
- ・常に高いパフォーマンスが前提
- ・余力がない状態が続く
- ・暗黙のプレッシャーが存在する
といった点で差が生まれます。
パープル企業は悪なのか!?
先ほどまでの記述では一見パープル企業は「悪」に見えますが、実は悪ではなく企業の成長過程であるというのが正しい表現と思われます。
ブラック企業と大きく異なる点として、パープル企業の多くが意図的に従業員を酷使しようとしているわけではないという点です。
- ・法令を順守しようとしている
- ・働き方改革に真剣に向き合っている
- ・制度整備や職場環境改善に投資している
こうした取り組みを進めた結果として、「時間は短いが、期待値は高い」状態が生まれてしまうケースが多く見られます。
これは、経営判断の失敗というよりも、複数の要請が同時に重なった結果として生じる歪みだと考えられます。
また、こういった状況は怏々として今ある巨大企業も経験しています。
その点からするとパープル企業は「悪」ではなく「成長過程の状態」ととらえる方がしっくりくるかもしれません。
パープル企業と相性のいい人材・悪い人材
パープル企業は、すべての人にとって働きにくい職場というわけではありません。
一方で、どれだけ制度が整っていても、人材との相性次第で大きな負担になる環境でもあります。
ここでは、パープル企業と相性の良い人材・相性の悪い人材の傾向を整理します。
これは個人の優劣を示すものではなく、企業の環境との適合性の話です。
パープル企業と相性の良い人材の特徴
【高い自己管理能力を持っている人】
パープル企業では、業務裁量が比較的大きい一方で、成果やスピードに対する期待値も高く設定されていることが多くあります。
そのため、
- ・タスクを自分で整理できる
- ・優先順位を判断できる
- ・疲労や限界を自覚し、調整できる
といった自己管理能力の高い人材は、環境を前向きに活用しやすい傾向があります。
【成長や挑戦を動機づけにできる人】
パープル企業では、「安定」よりも「成長」や「変化」が重視される場面が多くあります。
- ・新しい役割に挑戦したい
- ・高い目標に向き合うことを前向きに捉えられる
- ・プレッシャーを学習機会として捉えられる
こうした志向を持つ人材は、負荷の高さをキャリア形成の一部として消化できる可能性が高いです。
【曖昧さに耐性がある人】
パープル企業では、制度は整っていても、
- ・業務範囲が流動的
- ・評価基準が完全には定まっていない
- ・正解が一つではない課題が多い
といった状況が生まれがちです。
不確実性の中でも行動できる人、自ら仮説を立てて動ける人は、比較的適応しやすい傾向があります。
パープル企業と相性の悪い人材の特徴
【明確な指示やルールを重視する人】
パープル企業では、「任される」場面が多い一方で、細かい指示や明文化されたルールが不足していることがあります。
そのため、
- ・明確な業務範囲がないと不安になる
- ・手順や役割が定義されていないと動きづらい
と感じる人にとっては、心理的な負担が大きくなりやすい環境です。
【安定したペースで働きたい人】
パープル企業では、短期的な成果や変化対応が求められやすく、業務量や負荷に波が出やすい傾向があります。
- ・一定の業務量で安定して働きたい
- ・長期的に無理のないペースを重視したい
という志向の人材にとっては、「常に頑張り続ける前提」が負担になる可能性があります。
まとめ:大切なのは相性
企業と人材にとって大切なのは相性です。
だからこそ重要なのは、
- ・環境を一律に良し悪しで判断しないこと
- ・人材を環境に無理に合わせないこと
相性を前提にした採用・配置・期待値設計が、とても重要になります。