
2025年11月以降、北陸信越運輸局管内で大型車の車輪脱落事故が相次いだ。
国土交通省・北陸信越運輸局は2026年1月28日、事故要因の調査結果を公表し、事業者側の対応が不十分だった事例が確認されたとして、運送事業者に改めて徹底を求めた。
車輪脱落は、路上に“凶器”が放たれる事故と言えます。
外れたタイヤが歩行者や対向車に直撃すれば、被害は一瞬で重大事故につながります。
だからこそ今回の発表は、単なる注意喚起ではなく、現場の空気を変えるレベルの「業界へのメッセージ」と受け取り、是非社内のチェック体制を再度見直しするなど対岸の火事として見ないようにしましょう。
目次
何が起きていたのか:11月の3件+その後の1件、原因は“基本の未徹底”
北陸信越運輸局が今回発表した事故要因の調査結果は、2025年11月に発生した3件と、その後に発生した1件の車輪脱落についての分析です。
発表された要因として挙げられたのは
- ・知識のある者が作業(立会い)していない
- ・ボルト・ナットの錆や泥を除去せず装着
- ・指定箇所への潤滑油(エンジンオイル等)塗布の未徹底
- ・タイヤ脱着後の増し締めがされていない(または不十分)
- ・増し締め時にトルクレンチで規定トルクを担保していない
等のポイントで驚くほど「基本」に寄っていました。
「そんなのは当たり前」と思っている方、その感覚はもちろん正しいでしょう。
ただ、この問題は「この当たり前が仕組みとして機能していない」という点です。
「現場のミス」ではなく「企業のミス」と捉えるべき理由
車輪脱落は、表面上は“整備のミス”に見えますよね?
だから、起きた直後の対策が「注意喚起」「朝礼で指差し」「貼り紙」になりがちなのです。
しかし、今回の運輸局の文面は、現場個人の反省に寄せておらず、むしろ、作業に不安がある場合は外注(整備工場やタイヤショップ)も検討と明記し、組織として再発防止に寄せているということがポイントです。
- ・事故が起きる典型パターンは、現場が雑だからではなく、
- ・繁忙期で人が足りない
- ・経験者が立ち会えない
- ・交換後に「50〜100km走行→増し締め」を入れ込む運行計画になっていない
- ・記録が残らず、未実施が見逃される
という「会社側の管理体制(運用設計)」で起きる。
言い換えると、車輪脱落を減らす鍵は「気をつける」ではなく、「気をつけなくても抜けない仕組み」にあるといえます。
企業はメンテを“コスト”で終わらせず、“統制”にする
今回の事実が表す現実として企業はメンテナンスを「現場に任せる業務」ではなく、会社としての統制領域として扱う必要があるということ。
企業(経営)側がまず決めるべきは3つあるでしょう。
- 標準手順を「推奨」から「義務」にする
清掃、給脂、規定トルク、増し締め。全部セットで“必須工程”として定義する。 - 外注の判断基準を持つ
不安がある場合の外注検討は、運輸局が明記している。ならば「迷ったら現場が無理する」構造を潰す。 - 増し締め前提の運行設計を承認する
増し締めができる時間と導線を、配車・点呼・休憩に組み込む。できないなら、仕組みが負けている。
最低限でもこの3つは企業としての統制すべきこととして認識し、ルール(仕組化)することが大切です。
現場では“注意喚起”ではなく“実行証跡”で潰す
現場(管理者)の腕の見せどころは、口で言うことではなく、抜けをゼロにする運用の実践です。
例えばチェック項目は、運輸局の指摘内容に沿ってシンプルに運用しやすい様にする。
- ・経験者の実施/立会い
- ・錆・泥の除去
- ・指定箇所への潤滑油(薄塗り)
- ・最終トルクレンチ(規定トルク)
- ・50〜100km後の増し締め(トルクレンチ)
最も重要なのは、チェックを“紙で増やす”ことではなく、未実施が見逃されない設計・ルール(記録、写真、マーキング、確認者サイン、未達時のルール)と運用を実践することです。
企業として現場と連携し最悪の事態を防ぐ
大切なことは企業の管理サイドも現場サイトも連携することです。
どちらかだけがやっていてもそれはいずれおざなりになってしまいます。
両サイドが連携することで仕組みとして最悪の事態を未然に防ぐことができるようになるのです。